試作の費用や範囲で後から認識が食い違うのは、依頼を受ける場所と費用を決める場所が分かれている構造が原因です。重い仕様書を作るのではなく、依頼を受けた人がその場で取引先と品目・数量と納期・費用の扱い・量産の見込みの四点を一行残し、見積を決める人が毎朝それだけを見る形が出発点です。
まず結論:仕様書を作るのではなく、取り決めを受けた場で残す
試作の相談は、電話や立ち話で気軽に始まることが多いものです。受けた人は善意で動き、費用や範囲は後回しになりがちです。結論から言えば、仕様書を作ることではなく、取り決めを受けた場で残すことが出発点です。
ここでは従業員20名ほどの町工場を例に考えます。実在の企業の事例ではありません。
いま何が起きているか
取引先から「まず1個、試作できますか」と声がかかります。長いお付き合いの相手なら、断りにくいものです。受けた人は、現場に頼んで試作を進めます。
このとき、数量、納期、費用の扱い、量産につながるかは、口頭のままになりがちです。試作品を納めた後、「費用は量産時に含める話でした」「別でお願いしたはずです」と認識が食い違います。原因は記憶違いではありません。依頼を受ける場所と、費用を決める場所が分かれている構造です。
どう考え、どう動くか
考え方は、取り決めを重い書式にしないことです。書式が重いと、忙しい現場では使われなくなります。依頼を受けた人が、その場で次の四点を一行で残します。
- 取引先と品目
- 数量と納期
- 費用の扱い(有償・無償・量産時に含める)
- 量産の見込み(あり・未定)
見積を決める人は、毎朝その記録だけを見ます。聞いた人にしか分からない状態を、先に減らします。ツールは後からで構いません。まずは紙一枚でも始められます。
VELAの立場
VELAは帆として、経営者の方が受けている風を、一緒に確かめるところから始めます。試作の受け方は、取引の歴史や関係性によって違います。型を押し付けることはしません。いまの受け方をお聞きし、どこで取り決めが途切れるのかを一緒に探します。そのうえで、続けられる形を決め、航路を共に渡ります。
